2009/10/13

09年度:第3回 動物の抽象化 1

課題の解説、アイデアスケッチ

先週から既に第一課題のプロジェクトはスタートしていますが、今日からが実質的な制作活動です。

スケッチである程度イメージが見えてきたら、粘土を使って実際にかたちにしてみます。
受講生はなかなか「抽象化」という思考ができなくて、スケッチではただその動物のシルエットを描くだけだったり、キャラクターになってしまったり。粘土を触っても、その動物のかたちをただ作るだけになってしまったり。
「みたて」とか「物語る」というトレーニングが足りないなぁ。


石塚先生からは、今回もヘンリー・ムーアのデッサンが例として示され、「立体のボリューム感や、断面がどうなっているかまで意識してみましょう」という、かなり重要なアドバイスがありました。受講生のみんな、解ったかなぁ。

次回は、今日いろいろ試してみたプチ表現の中から、いよいよ作品化を試みます。

2009/10/06

09年度:第2回 アイデアスケッチ

宿題(動物の観察)の確認、情報整理、アイデアスケッチ

今回は、本番の課題に入る前の準備ということで、取材してきた動物のスケッチから、作品制作に向けたアイデア出しの時間となりました。

「抽象化」に向けて

第一課題である「動物の抽象化」は、油土を使っての立体作品の制作です。本格的な制作は来週からとして、今日は受講生それぞれが動物園でスケッチしてきた表現を元に、その動物の特徴を抽象的な表現に展開していくアイデアスケッチをたくさん描きました。

石塚先生からは、「抽象化」の定義やこれからの制作プロセスについての説明と、ヒントとしてピカソ、ムーア、ブランクーシ、そして前回のカルダーの作品が紹介されました。

かなり丁寧に説明されたのですが、実際に自分でやってみると「抽象化ってどうするの?」的な学生が多かったようです。

ポイント
・「the」ではなく「a」、つまり個としての動物ではなく、種としての一般的なその動物の特徴を際立たせた表現。
・キャラクターデザインとは正反対の方向性。特徴を創り出すのでなく、その種が本来持っている「らしさ」を表現する。
・図鑑的なシルエットを描くのではなく、動きや仕種などからその動物の特徴を見つけ出す。



午前のクラス、午後のクラスを通して、「ペンギン」が圧倒的に多かったのが印象的です。描きやすそうだからか?
でも、よく考えてみてください。描きやすいということは、ある意味既に抽象化されている、パターン化されすぎている、と言うことでもあります。また、ペンギンなどは水中での活動に向けた進化を果たしていて、形態自体が既に相当洗練された機能的で抽象的なかたちをしています。輪郭線をなぞっただけでは魅力的な作品にはなりませんよ。

石塚先生のアドバイスにもあったように、対象とした動物が難しいと思っても、失敗を恐れずに、どうしたら美しいかたちを導き出せるのかの試行錯誤をやりきってほしいものです。


こんなにじっくり表現と向かい合える機会は今しかない


これは横溝先生からのコメントでしたが、まさにその通り。いま「表現したい」という気持ちを盛り上げておかないと、将来はないと思いますよ。
多くの学生がしっかり準備をしてこの授業に臨んでいる一方で、ホントにそれでいいの?と言いたくなる学生も何人か。説明をちゃんと聞く、制作に集中して「おしゃべり」で他の人の邪魔をしない、指定された準備は確実にやってくる、言われたことだけでなく自ら調べる、など小学生でもできる当たり前のコトはちゃんとできていてほしい。
人数が多いと、どうしても楽な方に流れてしまいがちだけど、ここでしっかりやりきった人が結局この先の成長を確実なものにできるってこと、解らないだろうなぁ・・・。
(文責:原田泰)

2009/10/04

事前課題:動物園へ

この授業の受講生は、事前課題として動物園で実際の動物を観察、スケッチしてくるコトになっていました。
昨年度の授業の反省会で、「自分たち教員もやってみせたいね」と盛り上がったので、早速実践。

日曜日は混んでいるのが当たり前

今日は連休前の週末だし、ちょっとは空いているかと思いきや、上野動物園は普通に混んでいました。天気もよくて、動物たちは嬉しそうでしたが、こちらは日向で人ごみに押されながら、スケッチブックを広げ、子どもたちに「このおっさん、何描いてんだ?」という目に晒され、かなり消耗しましたよ。

でも、「若いもんにはまだ負けられん」と意地になって、閉園時間ギリギリまで粘って楽しんできました。ごった返していた園内からあっという間に人がいなくなると寂しいものですが(写真)、動物たちはやっとゆっくりできる時間になった、というわけですね。

2009/09/29

09年度:第1回 オリエンテーション

いよいよ今年度も始まりました。
さあ、真剣に楽しみましょう。

今日は、授業のオリエンテーションのあと、アレクサンダー・カルダー(Alexander Calder)の『LA MAGIE CALDER』というDVDを鑑賞しました。

内容は、針金を使ったサーカス、モビールの制作風景、ドローイング作品の制作風景と、大人にとっては垂涎(すいぜん)モノの映像資料です。今年度の授業プログラムに関連深い作品ということで紹介したワケですが、果たして何人の学生がこの作家のすごさを感じてくれたでしょうか。
(原田)

2009/02/04

08年度:第15回 最終回

今日はこの授業のまとめとして、千葉工大の先輩でもある横溝先生のこれまでの仕事を、この授業の内容に絡めて紹介していただきました。

2009/01/30

08年度:第15回 まとめ

諸事情により、
最終回は2月4日になりました。

2009/01/27

08年度:第14回 授業全体の振り返り

制作プロセスをプレゼンテーション

今日のメインメニューは、これまでの3つの課題のプロセスシート(パネル)の提出です。
評価のポイントは
・自分の作品としての制作プロセスが
 わかりやすく、魅力的に語られていること
・パネルの仕上がりが美しいこと(レイアウト、切り貼り)
・写真、文字の内容と表現が意図的にコントロールされていること
(写真の撮り方やトリミング、書体の選択や文字組)
・デジタルデザイン演習との関連づけと応用
などです。
広富萌香佐田奈緒子
吉瀧加寿美岡田彩子
提出後1時間ほどで各作品の評価・採点を行い、その後プチ展覧会として全パネルを全員で鑑賞しました。
特に良くまとまっている作品は一カ所に集め、作者を誉めたたえました。自信を持ってもらえれば。
午前のクラスでのプチ展覧会
午後のクラスでのプチ展覧会
午前のクラスの作品はグラフィックソフトを使ってまとまりの良いものが多かったのですが、午後のクラスの作品は手書きの表現に魅力的なものが多かったのが特徴です。

表現のゴールを決めるのは自分です

各課題の4回めの授業時に一度まとめとしての振り返りは行っていますが、全体を眺めてみるとまた新たな発見があると思います。
3課題ともレベルの高い学生、課題が進むにつれて質のあがっていった学生、気に入った課題だけやった学生、とりあえず条件だけクリアして場をしのいだ学生。人それぞれですが、授業運営側としては、予測や期待を超えて粘る人が増えてほしい訳で。「つくり直したのでみてください」とか「条件を拡大解釈してるけどこりゃスゲェ」というのが全くなかったのは残念です。
この授業での制作はこれで終了ですが、表現する面白さ、課題という枠を乗り越えて人に魅せる作品をつくるモチベーションの重要性を、来年度の活動に応用していってほしいと思います。

2009/01/20

08年度:この授業を振り返って

なんとか3つの課題がカタチになって、ほっとしています。
授業を担当する側の、全体を通してのふりかえりを、まとめておこうと思います。

この授業の重要なポイントは、「調べて」「発想して」「表現する」でした。
特に「調べる」という活動が、表現を勉強する人にとって最も重要なプロセスなのです。でも、そこがちゃんとできてなかったなぁ、というのが教員3人の共通した印象でした。
自分の手を観察してスケッチ、というのに、手をデジカメで写真に撮ってその写真を写してる・・・。
動物を観察して特徴をつかむ、というのに、ウェブで画像検索してしかもわざわざ写真を見なくてもわかる範囲の資料しかない・・・。
これらは極端な例ですが、良い作品をつくるんだ、という目的とあまり結びついていない印象は否めません。
「発想」とは「組み合わせのアイデア」でもあるので、「調べる」がちゃんとできていなければ、良いアイデアも生まれない訳です。また、とりあえずアイデアがひとつできたらそれでおしまい。たくさん考えて、そのなかから最も行けそうなものを選ぶ、という当たり前のことにたどり着けないのも悲しかった。
「表現」については、とにかく仕事が汚い。「やりゃーいいんでしょ」的にしか見えないのがつらかった。試作をして、うまくいったら、清書として完全版をしあげる、といったプロセスがない。与えられた条件や材料からはみ出るのを恐れているのか、質を上げる工夫がない。
さらに、3つの課題の関連性つまり、3つとも「調べて」「発想して」「表現する」という経験であること、ある課題での発想方法や表現方法が他の課題に応用できること、などの気づきが見えなかったのもとても残念。
これらは受講生を非難しているのではなく、表現初心者としてはできなくても当たり前かもしれません。しかしかつてはクラスの中にほんの数人でも気づいて粘る学生がいたのに、いまはほぼ全くいない現実がショックです。

受講生の数が多いこともありますが、レベルの低い(ごめん)横並び状態は、デザインの学びとしてとてもMOTTAINAI。美術系の学校などでは、授業の中でも「これは凄い」と誰もか感じる作品が必ずあって、「やられた」「負けた・・・」という経験が全体の質を上げていくもの。そういう空気をつくらなければ未来はありませんね、というのが私たち3人の共通認識でした。

で、私たちの覚悟として、来年度は「私たちも作品を作って見せよう」という結論に至りました。
備忘録的にやりたいことをまとめておくと、
・プロの仕事を見せる(説明もせずに教員が作品を作り出す!)
・3つの課題に一貫性のあるテーマにしたい
(たとえば「動物」をテーマに塑造、ペーパークラフト、モビール化)
・観察のための時間をプログラムに盛り込みたい(みんなで動物園に行くとか)
というようなアイデアがあがりました。
具体的にどう展開するかはこれからのお楽しみです。

08年度:第13回 課題3 ANIMAL MOBILE(動物の抽象表現)-4

モビール作品完成

今日はモビール作品の提出日。ブラインドのフレームを使ってすべての作品を展示しました。美しい!。
午前のクラス
午後のクラス
本日の授業内容メニューは、教員が作品の採点、学生たちのミッションはプロセスシートの作成です。
評価は
・アイデアスケッチ
・色面構成
・設計図
・モビール
・振り返りシート
の5種類の提出物の総合評価です。
動物の特徴を観察し、そこから発想を広げ、平面表現から立体表現へ展開、計画的に準備し、クオリティの高い作品に仕上げる。さらに、この課題での自分の活動の意味づけや前の2つの課題との関連について気づきや理解があったか。つまり、ちゃんと手順を踏まないと作品もできないし評価も低い、という授業だったのです。
評価が高かった作品や「おしい」という作品はクラス全員の前で、賞賛を送りました。
注目作品